全教の取り組み「衆議院選挙結果を受けて」

全教は、衆議院選挙結果を受けて談話を発表しました。

憲法改悪を許さず、憲法をいかした政治の実現を求めて
新たな決意で運動を強めよう
2017年 10 月 25 日 全日本教職員組合(全教) 書記長 小畑雅子

 安倍首相の党利党略の突然の解散によって、衆議院選挙10月22日投開票で行われました。今回の衆議院選挙は、 5年間の安倍政権の国政私物化、憲法破壊を許すのかどうかが大きく問われる選挙となりました。選挙結果は、自民党公明党の政権与党が313議席、その補完勢力である「希望の党」・維新が61議席を獲得し、改憲派議席の2/3を超える状況となりました。一方、立憲民主党日本共産党社民党の3党は、それぞれ市民連合と「安倍政権のもとでの憲法9条改悪反対」「特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など安倍政権が行った立憲主義に反する諸法律の白紙撤回」など7点で合意して選挙をたたかいました。3 党の獲 得した議席は、合計で69議席となりました。また、沖縄では、「オール沖縄」の候補3人が当選を果たし、「辺野古新基地ストップ」の沖縄の民意を改めて示しました。

 選挙直前に、小池東京都知事を代表とする「希望の党」が結成され、そこに民進党が合流するという、市民と野党の共闘への乱暴な分断が持ち込まれました。これに対して、粘り強く市民と野党の共闘を継続・発展させるための努力が続いたもとで、共闘勢力が一定の議席を確保したことは、今後の運動の展望を示す上で、大きな意味をもつものです。

 同時に、改憲を重点政策に挙げた安倍首相が、衆議院選挙本番では、「国難突破選挙」と称して、北朝鮮情勢などを利用して国民の不安をあおることに終始し、改憲についてほとんど語らなかったのは、9 条改憲への国民の大きな反発をおそれてのことです。そのことは、「安倍政権のもとで憲法 9 条を改正し自衛隊を明記すること」に対して、賛成36%、反対45%となった世論調査結果(10月25日付 朝日新聞)にも表れています。自民党臨時国会での改憲案の提案をめざしているとの報道もありますが、比例代表で言えば自民党の獲得した得票は全有権者の17.5%に過ぎません。改憲派が多数の議席を占めたことをもって、このまま改憲につきすすむことは許されるものではありません。

 全教は、衆議院選挙にあたって、「政党支持の自由、政治活動の自由を堅持し、教職員組合としての選挙闘争を前進させ、安倍9条改憲NO!安倍政権退陣!立憲主義、民主主義、平和主義の回復、憲法改悪阻止、政治を変えて職場の願いを実現しよう」と題する選挙闘争方針を確立し、たたかいをすすめてきました。また、方針にもとづき、職場の願いを出発点に教職員との総対話をすすめ、「選挙に行って政治を変えよう」と呼びかけました。青年が各党のマニフェストの学習をすすめる、各党へのアンケート調査を実施し組合員に 情宣する、衆議院選挙特集の新聞全教号外(15 万7000 部発行)を文字通り全教職員に配布するとりくみをすすめるなど、各構成組織は、職場・地域の実態を踏まえながら、衆議院選挙のとりくみをすすめてきました。

 今回の選挙は、18歳選挙権が実現したもとで、初めての総選挙となりました。18歳、19歳の小選挙区投票率は、それぞれ50.7%、32.3%で、昨年の参議院選挙を下回っています。「『高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について』(初等中等教育局長通知)」、「通知に関する Q&A」を 撤回し、高校生、大学生の政治活動の自由を保障する立場に立った施策をすすめることを改めて求めるものです。

 改憲派が、2/3を超える議席を占めるもとで、安倍9条改憲をストップさせる課題は、ますます重要になっています。全教として、市民と野党の共闘をさらに発展させる立場でのとりくみをすすめていきます。また、全教は、引き続き、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを高く掲げ、安倍「教育再生」ストップ、 憲法3000万署名の推進、憲法違反の特定秘密保護法、「戦争法」、共謀罪法の廃止、立憲主義を取り戻す運動に全力をあげていく決意です。 憲法をいかした政治の実現をめざし、この秋、学習、宣伝、行動の大運動への参加を全国の教職員に呼びかけます。   以上