3月2日 新型コロナウイルス感染症対策にかかわる緊急文科省要請・・・全教

 全教は、2月28日、全国の小中学校・高校・特別支援学校の設置者に対し「3月2日(月)から春季休業の開始日までの間、臨時休業を行う」ことを求めた安倍首相の新型コロナウイルス感染症対策本部会合での発言と文部科学省事務次官通知に関する緊急要請を行いました。

 要請の冒頭で全教は、学校休業日等の設定は、子どもたちや地域の実態を踏まえて各学校の設置者が行うものであり、首相が一律に要請するものではないこと、今回の決定は子どもや学校の実状を踏まえたものではなく、あまりにも拙速であること、そのため各学校に大きな混乱をもたらし、かえって子どもたちの安全を確保できない事態を引き起こしてしまうことを指摘し、以下の3点を要請しました。

1.今回の首相による要請は、各学校や教育委員会に強制するものではないことを明らかにすること

2.休校の時期などを含む新型コロナウイルス感染症対策については、各学校や教育委員会が、児童生徒や地域の実態を踏まえ、主体的に検討し判断するものであることを明らかにすること

3.臨時休校等の新型コロナウイルス感染症対策にともない生じる課題について、学校現場がすみやかに対応できるよう、各学校や教育委員会の実状や要望を把握し、必要な財政支援等の緊急措置をとること

 

それに対し、文科省は次のように回答しました。

  昨日、政府対策本部からの要請を受け、それを踏まえて文部事務次官通知という形で各都道府県教育委員会に通知した。基本的には、休校等の判断については学校の設置者の判断となる。あくまで「要請」を「お願いする」というもので、必ずしも一斉に休校の措置をするという内容ではない。緊急事態であり、ここ1~2週間が蔓延するかどうかの「瀬戸際」であるという対策本部からの報告に基づくもの。子どもたちと教職員のみなさんの健康を第一に考え、蔓延を防ぐための措置をとっていただけるようお願いしたい。

 その後のやりとりの中で全教は、障害のある子どもたちへの対応に特段の対応を求めるとともに、日中、家庭に保護者がいない子どもたちへの配慮も重要だと指摘しました。文科省は「そういった世帯への支援を含めて学校を開放する、学校で授業を存続するといったことについては、我々のほうで申し上げることではない。各自治体や学校の方で適切に判断してほしい」と回答しました。全教は、給食がないと一日食事ができない子がいることや「学童保育が大変なことになる」ことが予想されるとして、厚労省などと連携をとり、子どもたちの生活を守る体制の構築を求めました。

 また、教育課程にかかわって、通知には、授業時間数が標準を下回った場合でも「施行規則に反するものではない」と書かれているが、後で「時数を回復せよ」などと言われるのではないかと質しました。文科省は、「通知の通り」だと回答しました。卒業式についても「児童生徒の発達段階にとって非常に重要な行事であり、それを一律に中止するような要請は一切行っていない。ただ、実施する場合にも、ウイルスの蔓延を防ぐために必要最小限の規模でとお願いしている」としました。

 さらに全教は、給食の食材を提供する業者やパートの調理員が「仕事がなくなってしまう」と心配している問題、臨時・非常勤教職員の給与の問題、子どものために親が仕事を休まざるをえなくなれば経済的にも厳しくなる問題などを上げ、緊急に各教育委員会に要望を聞き、財政面での支援を行うよう要求しました。文科省は、「自治体の要望を聞き、臨時の対策費を検討していきたい」「他の省庁とも連携して適切な対応ができるよう検討していきたい」としました。

 要請の最後に、全教は、「『要請』という言い方ではあれ、教育の具体的な中身に対して首相がこのように一定の方向性を示したことは問題である」と指摘しました。

新型コロナウイルス感染症対策に伴う全国一斉休校に対して 全教が談話を発表

【談話】

 一方的に 臨時 休校を押しつけるのでなく、国の責任で十分な財政措置をとり、

 すべての子どもたちのいのちと健康・安全を確保できる体制の確保を


                         2020年2月28日
                         全日本教職員組合(全教)
                         書記長 檀原毅也


 2 月 27 日、安倍首相は、新型コロナウイルス感染症対策本部会合で 新型コロナウイルス感染症対策として、「 全国のすべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について 3 月 2 日から春休みまで臨時休校をおこなう よう 要請 」 する と発言しました。 これを受け、文部科学省は 2 月 28 日付けで「 3 月 2 日(月)から春季休業の開始日までの間、学校保健安全法にもとづく臨時休業を行うようお願いします」とする事務次官通知を発出 しました 。


 一斉に休校を要請された期間は、年度末を迎え、児童・生徒の将来に関わる進路決定や一生の思い出となる行事なども予定されており、 これらの要請や通知 を受け、全国各地の教育委員会や学校では、児童生徒の安全確保や授業 、 学校行事、入学試験への対応等 について 多くの課題が生じ 、大きな混乱を招いています。 また、多くの父母・保護者から「仕事を休むことが できない」「休業した場合の減収により生活が困難になる」などの悲痛な声があがっています。


 各学校における休業日等の設定は、地域や児童生徒の実態を踏まえ各学校の設置者 が おこな うものです。 子どもたちへの感染リスクを検討し、 臨時休校をおこなうことが必要である 場合でも、 各学校の設置者が 、子どものいのちと健康を守ることを最優先にした専門家・教育関係者の英知を結集し、 それぞれの地域や学校の実態を踏まえて対応 するべきです 。 今回の 安倍首相による 要請は、 専門家の知見に基づく十分な検討を経て行われたもので はありません。また、 政府内 でも十分に検討されているとは言え ないものです 。 今回の安倍首相の発言は、 学校現場や地方教育委員会の実状を踏まえ ない 、 あまりにも拙速 なもので あり、 かえって 大きな 混乱を 引き起こし ています。 児童生徒の安全を確保できない事態を引き 起こしかねません。


 今回の安倍 首相による要請 について文科省 は 「お願いするというもので、必ずしも一斉に休校の措置をするという内容ではない」としています。 臨時休校の時期などを含む新型コロナウイルス感染症対策については、各学校や教育委員会が、児童生徒や地域の実態を踏まえ、主体的に検討し判断すること が求められます 。
 また、政府・文科省は、新型コロナウイルス感染症対策にともない生じる課題について学校現場がすみやかに対応できるよう、各学校や教育委員会の実状や要望を把握し、必要な財政支援等の緊急措置をとることが必要です 。 さらに、臨時休校による父母・保護者 の休業 に対する補償や保護者の負担増が生じない対策を確立することが求められます。 学童保育の体制や障害のある子どもたちの居場所の確保 や検査体制の確立 など、社会全体で子どもたちの安全を確保することは急務です 。
 同時に、教職員が安心して必要な対応ができるよう、必要な教員の加配や柔軟な服務の扱いを可能とする こと 、臨時 ・非常勤 教職員の給与保障を行うこと などの条件整備が求められます。
 全教は、国の責任で、十分な財政措置をとり、早急な検査体制やだれもが気軽に相談で きる体制を確立し、すべての 子どもたちの いのち と健康・安全を 確保することを求めるものです。
                               以上

長時間労働の是正を 教員増求め署名活動 小学校3割・中学校6割以上の教員が月80時間超の時間外勤務 山形市

 全国的に問題となっている公立学校の教員の長時間労働を是正しようと、山形市で教職員組合が教員の増員を求める署名を募った。

 公立の小・中・高校の教員数を増やし、長時間労働を是正しようと、JR山形駅前で教職員組合員などが署名を募った。

 文部科学省の調査によると、小学校の教員の3割、中学校の教員の6割以上が過労死ラインとされる1カ月の時間外勤務、平均80時間を超えて働いている。

 これは教員定数が変わらないまま小学校で英語が導入されるなど、授業の多様化で教員の負担が増加しているためで、生徒と向き合う時間が取れない状況になっているという。

(全山形教職員組合・堀野広一事務局長)
「先生を1人でも多く増やし、学校の現場の先生方がゆとりを持って子どもたちひとりひとりを大事にする教育が出来るようにしたい」

集まった署名は県議会に提出される予定。

2020年2月16日 さくらんぼテレビで紹介されました。

全教の取り組み「文科省による不当な教育介入に抗議」

 全教は、3月20日 つぎの談話を発表しました。

文部科学省による学校と地方教育委員会への不当な教育介入に断固抗議する!

                        2018年3月20日
              全日本教職員組合(全教)書記長 小畑 雅子

1.文部科学省が、2 月に名古屋市立中学校で文部科学省事務次官前川喜平氏が授業の一環として講演したことについて、名古屋市教育委員会を通じ、学校長に対し、講演内容等の確認や録音データの提出を求め、不当な圧力をかけていたことが明らかとなりました。全教は、文科省による、憲法の精神に反する教育への不当な介入に、断固抗議するものです。

2.文科省が個別の学校の授業内容について調査することは極めて異例です。文科省は 2 回のメールで計26 項目にわたり、講師に招いた目的、謝礼額、参加人数、保護者や生徒の反応などについて「具体的かつ詳細にご教示ください」などと執拗に問い詰めています。さらに、講演の録音データの提供を要求するとともに、「どのような方がどの程度参加されたか」などと参加者の情報まで求めています。
また、名古屋市教委に対しても「前川氏の講演による授業をどのように判断しているか、お考えをご教示ください」などと圧力をかけています。今回の文科省の行為は「調査」などではなく、明らかに、教育への不当な介入であり、学校と地方教育委員会に対する恫喝ともとれるものです。

3.教育基本法には、戦前の国家主義的な教育への反省から「教育は、不当な支配に服することなく」行われるものであることが明記されています。最高裁も「教育内容に対する・・国家的介入はできるだけ抑制的であること」(旭川学テ判決)としています。しかし、林文科大臣は、「法令にのっとった行為。一般的にあること」などと開き直り、正当化しようとしています。授業の内容など教育課程の編成権は各学校にあり、本来文科省は、不当な介入から学校を守るべき立場です。その文科省が各学校の授業の内容に介入し圧力をかけるなど、憲法教育基本法が禁じている国家権力による教育内容への不当な支配そのものであり、許されるものではありません。このような文科省による学校や地方教育委員会への介入がまかり通るなら、子どもたちの実態をふまえた創意ある多様で豊かな教育活動が阻害されることとなり、国による教育統制につながります。

4.また、文科省のメールでは、「出会い系バーの店を利用」「こうした背景がある同氏」などと前川氏への人格攻撃ともいえる内容も含めて、講演依頼に対し「どのような判断で依頼されたのか」などと回答を求めています。安倍政権に批判的な人物の言動をチェックし、圧力をかけるものと言えます。今回の文科省の行為の背景には、自民党の国会議員からの働きかけがあったことが報道されています。意見の異なる者を排除する安倍政権の異常な体質が表れていると言わざるを得ません。

5.全教は、文科省に対し、過ちを認め謝罪し、政治家からの働きかけやその影響なども含め真相を明らかにするとともに、地方教育委員会や学校への教育施策の押しつけや不当な介入を行わないことを強く求めます。

以上