【3年連続マイナス勧告 人事院】

 政府は、昨年を上回るマイナスの官民逆較差による高齢層を重点とした月例給の引き下げ、一時金の据え置き、給与構造見直しにともなう現給保障の廃止などを内容とした11年人事院勧告をうけて、勧告の取り扱いの検討作業を開始しました。
 3年連続で月例給を引き下げ、調査が実施されなかった東北3県の状況を類推して意図的に一時金の改善までも見送ったことで、公務労働者の生活悪化が避けられないばかりか、「今年こそは賃上げを」と願っていた教職員の仕事に対する働きがいさえも失わせる点で、断じて認められません。
 とりわけ、05年の給与構造見直しにともなう給与減額を補うために、現在まで続いてきた現給保障を廃止することで、経験豊富な高齢層の教職員がもっとも不利益を受けます。しかも、賃下げは、50歳代はもとより40歳代まで広い範囲におよびます。さらには、地方公務員である教職員や自治体職員、独立行政法人職員などに波及すれば影響の大きさははかりしれません。
 また、勧告と同時におこなわれた高齢期雇用にかかわる「意見の申出」でも、65歳までの定年延長とセットで、60歳以上の公務労働者の年収を7割に削減するなど、一貫して高齢層をねらい撃ちにして賃金抑制・賃下げをはかる点で、きわめて重大な問題を持っています。
 こうした内容からも、勧告の取り扱いをめぐっては、労働組合と真摯な交渉・協議を尽くし、公務労働者の生活と労働条件を向上させる立場での徹底した議論を強く求めるものです。
 一方、労働組合の反対を押し切って国会提出が強行された「給与臨時特例法案」は、6月初めの提出から一度も審議されることがなかったこと、しかも労働基本権を踏みにじる点で憲法違反の法案であることなどからも、すみやかな撤回を要求していきます。
 また、定年延長にかかわる「意見の申出」については、職務・職責がまったく変わらないままで、年齢で区切って賃金を引き下げることは認められるものではありません。働きがいと誇りを持って働きつづけられる職場環境の実現にむけて、使用者としての責任を果たすよう求めていきます。
 公務労働者が生活の不安なしに職務に専念できるように、賃金・労働条件改善に全力をあげるよう職場の総意を持って要求していきます。