【いじめに関するアンケート実施にかかわる見解】

全山形教職員組合は、県教委が行う「いじめに関するアンケート」実施に関わって見解を発表しましたので紹介します。

「いじめ」に関するアンケート実施にかかわっての見解
                      2014年2月28日 
                   全山形教職員組合執行委員会 

 天童市の中学生が、いじめにあっていたことをノートに書き残し、山形新幹線にはねられて死亡した事件にあたり、亡くなられた中学生とご遺族の皆さんに心から哀悼の意を表明します。子どものいのちは、何よりも大切にされなければなりません。私たちは、もう一度教育の原点に立ち返り、子どもたちが人間として大切にされる学校づくりを進めることを通して「いじめ」問題を克服していきたいと考えています。
 県教育委員会は、今回の事件を受けて、市町村立小中学校、県立高校、県立特別支援学校に対して、すべての教職員、児童・生徒、その保護者に回答を求める「いじめ」に関するアンケートの実施を通達しました。教育行政が、「いじめ」問題解決のために手だてをとることはありえることですが、今回の「いじめ」に関するアンケートの実施については、教育現場や県民のみなさんから疑念の声があがっています。
 本来「いじめ」問題を克服する力は、子どもや教育活動の中にこそあります。教育行政が、「いじめ」調査のための方法にまで踏み込んで一律に指示を出すことは、各学校のこれまでの取り組みや自主性を無視するものです。教育行政のなすべきことは、教職員定数の改善など教育条件を整備して、私たち教職員が、子どもたちの声に耳を傾け、その思いをていねいに聞き、その言動の背景にあるものをしっかりつかんで対応できるように、もっとゆとりをもって教育活動に当たられるようにすることです。
 また、懸念されることは、アンケートの結果が集計され、その数値が一人歩きをし、それが学校評価や教職員個人の評価に結びつけられて、「いじめ0」などの数値目標を現場に押しつけるだけの「いじめ対策」になりはしないかということです。「いじめ」防止において重要なことは、「いじめ」を生まない土壌をつくるために、互いの人格を尊重することとともに、「いじめ」の背景にストレス等があることに着目し、その改善を図ることです。「いじめ」の背景の重要な要因の一つに、国連子どもの権利委員会が「過度に競争主義的な教育制度」があることを指摘したことは、看過できないことです。全国一斉学力テストの中止、「学校選択制」、「複線型の学校制度」などによる、学校間競争をあおり、子どもたちを追いつめる政策の撤回などを国に強く求めるものです。
 県教育委員会は、これまで教職員定数改善の「さんさんプラン」や多忙解消のための「ゆとり創造アクションプラン」など、教育条件の整備を積極的に進めてきました。しかし、それでも私たち教職員の多忙は解消されていません。全教調査によると、教職員の時間外勤務が「過労死」基準の月80時間以上を超えているという結果が出ています。
 全山形教職員組合は、もっと子どもと向き合い、子ども一人ひとりの思いに寄り添いながら、子どもたち同士の、人間性豊かな関係づくりを支援できる学級・学校づくりをさらに進めていくものです。