【いじめ問題対策で県教委へ要請】

山教組は3月25日、いじめ問題について県教委義務教育課に要請を行いました。

要請書を県教委に手渡す福岡執行委員長

 天童市の女子中学生に対するいじめ問題を受けて、県教委は2月の中旬、県内の公立学校に対してすべての児童・生徒、その保護者に回答を求める「いじめ」に関するアンケートの実施を通達しました。
 学校現場では、「なぜ、卒業式を控えたこの時期に?」「無記名で記入させて、どうやって指導するのか?」「今年度、児童理解のためにアンケートや個別面談をしてきたのに、さらにやらなければならないのか?」など、多くの疑問の声があがりました。
 またマスコミ報道では、学校がこれまで子どもや地域の実態に即して努力してきたいじめに対する取り組みでは不十分で、県教委が対応に乗り出した、のような報道がなされ、これまで培ってきた子ども・保護者との信頼関係がこわれるのではないか、との不安の声も出ています。
 山教組では、この声を次の3点にまとめ、3月25日(火)県教委に要請を行いました。
1 いじめを含め、子ども理解のためのアンケート等は、各学校の自主性を尊重すること。
2 今般のアンケートによって、いじめの件数のみを機械的に集計することのないようにするとともに、学校評価や教職員評価に結びつけることのないようにすること。
3 教職員がもっと子どもと向き合い、子ども一人ひとりの思いに寄り添いながら教育活動やいじめを生まない学校づくりができるよう、定数改善や校務の効率化、多忙化解消等の条件整備を行うこと。

 話し合いの中で、低学年向けアンケートの中に「悪口をいわれた」「こわい言葉をいわれた」など、およそ子どもの世界ではどこでもあり得るような質問があり、クラスのほとんどの子どもが〇をつけたため、春休みに入ってもずっとその確認に追われている、などの実態も出されました。

 軽部義務教育課長は、「『いじめ』は、どこにでも起こりうるもの。まだ、表に現れていない『いじめ』が現場にはあるのではないか。それを早急に把握してほしかった。」と、実施の趣旨を説明し、「アンケートは万能ではない。これまで各学校で行ってきたものと組み合わせて、時期などは実態に合わせてやってほしい。」「県として集計する数は、〇がついたすべてではなく、各学校で精査された数だけ。どう対応したかについては集約しない。」「いじめは、どこでも起こりうるもの。いじめの件数があるからといってそれを学校評価や教職員の評価に結びつけることはない。」さらに、「未然防止のために、子どもと向き合う時間の確保も大切。」「現場の声を吸い上げて、今後の対策を進めていきたい。」と、答えました。
 山教組は今後も、教育の原点に立ち返り、子どもたちが人間として大切にされる学校づくりを進めることを通して「いじめ」問題を克服していけるよう運動を進めていきます。