【「戦争法案」の衆議院特別委員会での強行採決に強く抗議する】

 全日本教職員組合は、7月15日「戦争法案」の衆議院特別委員会での強行採決に強く抗議する声明を発表しました。

 7 月15 日、安倍自公政権衆議院平和安全法制特別委員会において、与党の多数をたのんで「国際平和支援法案」及び「平和安全法制整備法案」の採決を強行しました。全教は、安倍内閣による強行採決に強く抗議し、両法案の廃案を求めます。

 集団的自衛権の行使を可能にする「国際平和支援法案」「平和安全法制整備法案」は、日本が直接武力攻撃を受けなくても、自衛隊が「いつでも」武力行使でき、「日本周辺」という地理的制限をなくして、世界中の「どこでも」自衛隊を派兵できるようにする「戦争法案」そのものです。閣議決定以降の委員会審議においても、この法案が憲法を踏みにじる違憲法案であり、立憲主義を否定するものであることが明らかにされています。また、憲法研究者の9 割以上が「違憲」と判断し、全国の292 自治体が「慎重」「反対」の立場の意見書を衆院に提出し、そのうち113 の自治体は法案の違憲性を指摘しています。さらに、政府が持ち出してきた砂川事件最高裁判決や72年の政府見解、「安全保障環境の変容」も、「合憲」の根拠とはまったくならないことが研究者からもマスコミからも指摘され、国会の論戦でも明らかになっています。朝日新聞が実施した世論調査(7 月11〜12 日)では、安保法案について「反対」が56%と過半数を超え、「憲法に違反していると思う」が48%と、「違反していない」(24%)の2倍になっています。採決の前の質疑で、安倍首相自ら「残念ながらまだ国民の理解が進んでいる状況ではない」と言わざるを得ませんでした。

 国会における論戦でも、研究者の判断でも、さらに国民の世論でも圧倒的に「違憲」「反対」の声が大きくなり、国会の議席数で圧倒している安倍政権が国民に追い込まれているのが現実です。憲法の60 日規定を担保として戦後最長の会期延長を行うなど、そのなりふり構わないやり方は、国民の声を無視した暴走政治そのものです。国民の疑問にまともに答えず、理解も全く進んでいない中での強行採決はさらに国民の怒りを広げ、「戦争法案」廃案の声は強く大きくなることは必至です。

 この間、「戦争法案」反対の運動は全国に広がり、「戦争法案」反対の1 点での共同が無数に生まれてきています。特に青年たちが立ちあがり、目に見える行動を連日繰り広げていることが周囲を励ましています。

 私たちが全国の学校職場でとりくんでいる「全国教職員投票」でも、圧倒的多数の教職員が、「戦争する国」ではなく、憲法9 条をいかし「平和をひろげる国」を子どもたちに手渡したいという意思を表明しています。憲法を踏みにじり、「教え子を再び戦場に送る」ことにつながるこの法案は廃案にする以外ありません。

 全教は、今回の特別委員会における強行採決に、満身の怒りを込めて抗議します。今後職場や地域で「戦争法案」の中身を知らせ、さらに共同のたたかいを広げ、廃案に向けて全力でとりくむ決意です。  以上