ロシアのウクライナへの侵略戦争の停止・即時撤退を求める

 2022 年 3 月 5 日、 山形県 2022 年国民春闘共同学習決起集会が開かれ、特別決議が採択されましたので紹介します。

 

 ロシアは 2 月 24 日、ウクライナへの軍事侵攻を開始しました。これはウクライナの主権と領土を侵し、国連憲章国際法を踏みにじる、まぎれもない侵略戦争であり、断じて許されません。ただちに軍事行動をやめ、撤退することを強く求めます。日本の国民、山形県内のすべての労働者・県民が、国際社会と連帯して、ロシアのウクライナ侵略反対の一点で団結し「戦争反対」の声をあげることを心から呼びかけます。
 ロシアのプーチン大統領は、「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つだ」と述べ、核兵器の先制使用も辞さない態度を示しています。ウクライナ侵略に国際的な抗議、制裁の動きが強まっている中で、プーチン大統領は核態勢の強化を命じました。
 核兵器の使用がもたらすのは、広島、長崎への原爆投下が示しているように、殺戮と破壊によるおびただしい犠牲です。核戦争に勝者はいません。ロシアは人類全体に破滅的結果をもたらしかねない核戦争の脅しをやめるべきです。
 ウクライナ危機の下で、一部メディアや政治家から「9条で国は守れるのか」「国連は無力」などとする攻撃が強まっています。この危機に乗じて、憲法9条非核三原則を攻撃したり国連は無力と言い募る議論の行き着く先は、「力の論理」そのものであり、それを最悪の形で実践しているのがプーチン大統領です。力と力による衝突を否定したのが、国連憲章であり憲法9条です。唯一の戦争被爆国である日本が、二度と再び核攻撃による惨禍を繰り返さないために確立したのが非核三原則です。ウクライナ侵略の事実を前に、紛争の平和解決、武力行使の禁止、核脅迫への批判という根本原則を軽視し「力の論理」に陥れば、プーチン大統領と同じ立場に身をおとしめることになります。
 戦争で常に犠牲になるのは、労働者とその家族であり経済的・社会的に弱い状態にある人々です。世界はいま新型コロナパンデミックとたたかっており、パンデミックの脅威から人類を守るために全力を集中するときです。私たち労働組合は、戦争に反対し平和を求める世界の労働者・諸国民とともに声をあげます。
 ロシアに対し、ウクライナへの侵略戦争をただちに停止し、軍の即時無条件撤退を強く求めます。
 2022 年 3 月 5 日
               山形県 2022 年国民春闘共同学習決起集

【声明】ロシアによるウクライナ侵攻に抗議する!ロシアはただちに撤退・停戦せよ‼

全教が、2月28日、標記の中央執行委員会声明を発表しましたので紹介します。

 

                    全日本教職員組合中央執行委員会
 2 月24 日、ロシア軍がウクライナに侵攻しました。ミサイル攻撃や地上軍を投入し、首都キエフをはじめウクライナ全土を攻撃しています。この侵略行為により子どもたちを含む多数のウクライナの市民が死傷し、国外への避難を余儀なくされるなど重大な人権侵害が起きています。


 ロシアのプーチン大統領は当初、今回の侵攻が、ロシアが独立を承認したウクライナ東部の 2 つの「共和国」の要請を受けた集団的自衛権の行使だと述べていました。しかし、一方的な独立承認を根拠にした集団的自衛を国連憲章は認めていません。プーチン大統領は侵攻のねらいがウクライナ政府の転覆であると述べており、国際法違反の主権国家への軍事的侵略であることは明らかで、20 世紀の 2 度の世界大戦の惨禍の経験を通じて国際社会が築いてきた平和秩序を破壊する暴挙です。さらにプーチン大統領が、ロシアは核保有大国であると繰り返し述べ、その先制使用にまで言及していることは核兵器廃絶にむかう歴史の潮流を無視する許しがたい行為です。国際連合安全保障理事会常任理事国であるにもかかわらず、自らの主張を通すために軍事力を行使したプーチ
ン大統領は大きな誤りを犯しています。


 日本は国際紛争を解決する手段として武力による威嚇や行使を明確に否定する憲法9 条を持ち、唯一の戦争被爆国です。日本政府は、ロシアの侵略行為と核兵器による威嚇を厳しく批判するとともに、「軍事力では紛争は解決しない」「核兵器を使用するな」と広く発信し、平和を構築するために国際社会の団結と連帯を図るべきです。


 いま、世界各地でロシア政府に対する抗議と平和を求める声が上がっています。ロシア国内でも多くの人々がロシア政府にウクライナへの侵攻をやめるよう求めています。全教は、世界中の平和を求める人々と連帯し、ロシア政府に対して強く抗議するとともに、ただちにウクライナから撤退することを求めます。

 

 

【全労連事務局長談話】ロシアのウクライナへの軍事侵略に強く抗議し、直ちに撤退を求める

  ロシアのウクライナへの軍事侵略に対して、全労連事務局長が談話を発表したので紹介します。

 

2022年2月25日
全労連事務局長 黒澤幸一

 2月24日、ロシアのプーチン大統領は隣国ウクライナへの侵攻をロシア軍に命令。その日のうちにロシア軍がウクライナ国内の軍事基地などを攻撃し、ロシア軍がウクライナ領内に侵攻したと報道されている。これは主権国家へのまぎれもない軍事侵攻であり、全労連はロシアの軍事侵略を断固糾弾する。

 ロシアはウクライナ東部の2地域を独立国とみなす措置を一方的にとり、そこからの要請としてロシア軍による侵攻を決めた。一方的に「独立」を認めた地域・集団との「集団的自衛」は国際法上根拠がなく、ウクライナ主権国家と認めない態度は、国際的にも全く受け入れられない。国連加盟国の主権、独立、領土の尊重、武力による威嚇の禁止を明記している国連憲章に反し、ロシア自身が合意したウクライナ東部問題の平和的解決のために関係国間で結ばれたミンスク合意(2014年、15年)を踏みにじるものである。

 ロシアは核保有大国であり、攻撃に先立つプーチン大統領の演説でもロシアが世界最大の核保有国であることを強調し、威嚇を強めている。ロシアが2月19日に実施した軍事演習において、核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイル極超音速ミサイルを発射した。これらは、核の応酬へとエスカレートしかねない危険な行為であり、核兵器禁止条約が禁止した核兵器による威嚇そのものである。被爆国の労働組合として断じて容認できない。また、ウクライナにはチェルノブイリ原発事故現場はじめ多数の原発が存在し、新たな核の惨禍につながる危険もはらんでいる。

 戦争で常に犠牲になるのは労働者階級とその家族である。世界は新型コロナパンデミックに苦しんでおり、世界はパンデミックから人類と地球を守るために全力を挙げるべきだ。全労連は、平和を求める世界の労働者とともに声を上げる。ロシアに対し軍事侵略をただちに停止し外交交渉テーブルにただちに戻ることを求める。
 このような危機的状況を解決するには、日本国憲法9条を実践する平和外交が何よりも求められる。ロシアのように政府が他国への侵略行為に及ぶことへの歯止めが9条であり、敵基地攻撃の検討など9条を骨抜きにする自公与党、維新などの策動に断固反対する。日本政府には、ロシアの侵略行為に断固抗議するとともに、憲法9条を活かした対話と協力の外交努力を強めることを改めて求める。

以上

今必要なのは「9月入学」の拙速な導入ではなく、子どもたちの心身のケアと学びの保障

全教は5月13日、標記の書記長談話を発表しました。

 

【談話】今必要なのは 「 9 月入学」の拙速な 導入 ではなく、

子どもたちの心身のケアと学びの保障


 2020年 5 月 13 日
 全日本教職員組合 書記長 檀原毅也


 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの学校で再開が見通せない もと 、急浮上した 学校の「 9 月入学」案について、安倍首相は 4 月 29 日、「様々な要素を勘案しながら前広(まえびろ)に判断していきたい」と述べ 、 萩生田 文科 大臣 も 5 月 1 日、「広く国民の間で認識が共有できるのであれば、一つの大きな選択肢」と しています 。 これを受けて、政府は、 「 9 月入学」 を 導入する場合の論点や課題など について 整理し、 6 月上旬 には方向性を示す予定であると報道されています。
 「 9 月入学」を求める声 の 背景 には、新型コロナウイルス感染拡大にともなう学校の休校措置の拡大・延長による 、 学習の遅れや格差の 拡大 、 仲間との 豊かな 学校生活が奪われていることへの 不安 、 高校・大学入試への心配 等 の切実な 課題 があります。
 しかし 、 「 9 月入学」 導入 には、幼児教育・保育から高等教育までのすべての段階における教育と社会のあり方 全般に かかわる多くの重要な 課題があります。 その導入の是非については、中・長期的な展望も持 った 慎重な議論が必要で 、 多くの教育関係団体から、社会全体での慎重な論議を求める意見が表明されています。 この間の休校措置にかかわり緊急に求められる対策と混在させず、ていねいな議論をおこなうことが必要です。
 「 9 月入学」導入には、約半年間の発達段階のずれを考慮し、各教科や学校行事・特別活動等の年間サイクルを見通した全面的な教育課程の再編成が必要となります。 同時に、 学校と連携した 地域や 社会教育に関わる団体など、 すべての教育関係機関の計画の見直しをおこなうこと も 必要です。学校だけでなく、地域 社会に も 大きな影響を及ぼすもの で す。
 また、2020 年 4 月から 改訂学習指導要領 が小学校で 本格実施 となっていることに続き 、中学校、高校、特別支援学校においても順次押しつけられようとしているもとで 、 「 9 月入学」 導入についての 拙速 な 議論 が学校に 大きな混乱を 招く ことはあきらかで す。
 充分な論議と準備をおこなわないまま「 9 月入学」を拙速に導入することは、 子どもと 教職員 、 学校関係者に 大きな負担を押し つ けるものとなり ます。 今、 新型コロナウイルス 感染拡大 から子どもと教育を守るために様々な対応に取り組んでいる 学校、地域、家庭に さらに 大きな混乱を引き起こしかね ません 。 また、新型コロナウイルス感染拡大対策に奮闘している関係諸機関の方々にも新たな負担を強いることになります。
 今必要なことは、「 9 月入学」導入 の 議論の ために 労力や予算をかける の ではなく、 外出自粛を余儀なくされ 傷ついてい る子どもたちの心身のケアと学びの保障です。 一人 ひとりの子どもたちの声に耳を傾け、不安な気持ちや悩みを受けとめる ためにも、ゆとりある安心安全な学校生活に必要な 教職員加配や教室確保等による少人数 授業 の実施等 の 環境を整え、学びを保障することが求められています 。 また、 休校
により実施できなかった授業や行事等についての対応は、 大綱的な基準である 学習指導要領 を弾力的にとらえ 、各学校の実態に応じて、柔軟に教育課程を編成することでおこなうべきです。
 全教は、「 9 月入学」 導入には 多くの課題があり 、その 是非に ついて様々な意見があるもと、 拙速 な 導入 をおこなわないことを求めます。
                           以上

全教 学校再開にかかわり文科省に緊急要請

 全教は、文科省「令和2年度における小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等について(通知)」を発出したことを受け、学校現場の実態と要求を踏まえ、文科省に緊急要請をおこないました。

 緊急要請では、開校するにあたって、

①国の責任で十分な財政措置をとり、すべての子どもたちのいのちと健康・安全を確保するための体制を確立すること。

②休校措置により計画された授業時数が確保できない場合でも、標準授業時数を超えて授業時数を確保する必要はなく、地域や学校の実態を踏まえ、各学校で弾力的に対応するものであることを徹底すること。

③収入が急変した子どもたちの学資を負担している者に対し、入学料等の減免、減額及び猶予をおこなうことや、就学援助等の認定及び学用品費、学校給食費等の支給について年度途中の認定や申請書提出の柔軟な対応をおこなうこと、高校等就学支援金や高校生等奨学給付金について申請期間の柔軟な対応をおこなうことなどの指導を徹底すること。

④就職内定取り消しや解雇などが起こらないよう関係機関への指導を徹底するとともに、高校生等の相談体制を確立すること。

⑤ 市区町村や派遣会社に雇用された臨時・非常勤教職員の身分・賃金を保障するよう指導すること。

 などを要請しました。要請には、宮下直樹中央執行副委員長、波岡知朗書記次長、糀谷陽子中央執行委員、佐竹葉子中央執行委員が参加しました。

 

                     2020年3 月 26 日
文部科学大臣 萩生田光一
              全日本教職員組合(全教)中央執行委員長 小畑雅子


新型コロナウイルス感染症対策にかかわる 学校における 教育活動の再開等 に関する 緊急要請 書


 2 月 27 日、安倍首相 による「一律休校要請」により全国の学校で大きな混乱が生じました。 政府・文科省は、 新型コロナウイルス感染症対策にともない生じる課題について学校現場がすみやかに対応できるよう、 子どものいのちと健康を守ることを最優先にした専門家・教育関係者の英知 を集め、 各学校や教育委員会の実状や要望を把握し、必要な財政支援等の緊急措置をとる ことが必要です 。
 3月 24 日付「令和 2 年度における小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等について(通知)」において、 新学期を迎える学校の再開に向けて具体的な方針が示されましたが、今後、 開校する にあたって 、各学校や教育委員会が、児童生徒や地域の実態を踏まえ、主体的に検討し判断する こととともに 、 国の責任で、十分な財政措置をとり、早急 な 検査体制やだれもが気軽に相談で きる体制を確立 し、すべての子どもたちのいのちと健康・安全を確保する こと が求められ ます。
 以上の観点から 、下記の点を緊急に要請しま す。


              記
1.開校 する にあたって は 、 国の責任で十分な財政措置をとり、 すべての子どもたちのいのちと健康・安全を確保するため の体制を確立すること。
(1)学校現場において「3つの条件が同時に重なる場」(「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」)を避けるために必要な対策を講じること。
① 緊急に必要な教職員を増員配置するなど、 教室 内で の 少人数 指導が可能となるよう条件整備をおこなうこと。
② すべての子どもたちが利用可能な手洗い場や消毒液 、体温測定機器 等を確保すること 。
③ 必要 とする すべての子どもたち と教職員 にマスク等を提供できるようにすること 。


(2)保護者や子どもたちが気軽に相談できる体制を確立する こと。
①子どもに 保健室での対応が可能なるよう、人的財政的支援を緊急におこなうこと 。
②心のケアなども含め、 子どもたちや保護者が相談できるよう、 相談室の体制を確立すること。そのために 必要な スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置すること。
③学習支援員や部活動支援員を含む すべての教職員が 感染症対策に 必要な知識を得て、子どもたちの指導・相談にあたることができるよう対策をとること。


(3)特別支援学校等の スクールバスの増車 ができるようにすること。


2.2020 年度の 教育課程の編成において、 休校措置により計画された授業時数が確保できない場合でも、標準授業時数を超えて授業時数を確保する必要はなく、 地域や学校の実態を踏まえ、 各学校で弾力的に対応するものであることを徹底すること。

① 一律休校 によって 学習できなかった 内容の指導 については、 機械的に 授業時数を確保することで対応するのでなく、各学校の 実態 をふまえた方法 を尊重 すること 。
② 子どもたち が安定した 生活リズムを保ち、適度や運動や休養、睡眠等 を 保障 するため、子どもたち の負担が過重とならないように配慮すること。
文科省が依頼し各教科書発行者が作成した、補充のための授業等の資料の使用を押しつけないこと。


3.新型コロナウイルス感染症の 影響 により 、 収入が 急変 し た 子どもたちの学資を負担している 者に対し 、 下記の対応をおこなうよう指導 を徹底 すること。
①入学料や授業料など 学納 金 の 納付 が困難な者に対して、 都道府県や 各教育委員会が入学料等の減免、減額及び猶予をおこな う こと。
② 入学や新学期開始に際し、就学援助等の認定及び学用品費、学校給食費等の支給について、申請期日までに申請書の提出が困難な場合、柔軟な対応をおこなうこと。年度途中において認定を必要とする者については、速やかに認定し必要な援助をおこなうこと。
③ 高校等就学支援金や高校生等奨学給付金について、状況に応じ、申請期間を延長するなど柔軟な対応をおこなうこと。年度途中においても授業料減免措置等の必要な支援をおこなうこと。奨学金を必要とする高校生等に対しては、可能な限り速やかに対応すること。
④ 各制度の内容や問 い合わせ先を周知徹底し、相談に対して丁寧に対応すること。

 

4.新型コロナウイルス感染症の影響 により就職内定取り消し や解雇 などが起こらないよう関係機関への指導を徹底すること。 また、 高校生等の 相談体制を確立すること。


5. 市区町村や派遣会社に雇用された臨時・非常勤教職員について、身分・賃金を保障するよう指導すること。
                                 以上

 

全教 3月11日(水)、文部科学省と「全教2020年春闘要求書」にもとづく交渉

学校にゆとりと安心を 全国学テの中止、1年単位の変形労働時間制でなく、抜本的な定数増と少人数学級実現を!特別支援学校の過大・過密解消を!免許更新制度は廃止を! 文科省と2020春闘要求交渉~

 

 全教は3月11日(水)、文部科学省と「全教2020年春闘要求書」にもとづく交渉を行いました。全教から小畑雅子中央執行委員長、檀原毅也書記長をはじめ9名が参加し、文科省からは今村聡子 総合教育政策局主任教育企画調整官ほか計6名が参加しました。

 

 冒頭に小畑委員長から、新型コロナウイルス感染予防にかかわる一斉休校の対応について現場での様々な問題が複雑化・深刻化していることを指摘しました。子どもたちの最善の利益を守る観点から、科学的な知見も踏まえ、一律の休校ではなく地域や学校の実態に応じた柔軟な対応が可能となるように、子どもたちのいのち・安全を守るための支援策を改めて求めました。また、「1年単位の変形労働時間制」導入を可能とした「法改正」について、長時間過密労働の実態を解消しないばかりか、かえって助長するものであることが国会で明らかになったことを指摘し、「せんせい ふやそう」署名3114筆を追加提出し、「1年単位の変形労働時間制」導入ではなく、抜本的定数改善による教職員増を改めて訴えました。

 交渉は4つの重点要求にそってやりとりが行われました。

 

①「全国学力・学習状況調査」、新年度4月の調査は中止にせよ

 文科省は「全国学力・学習状況調査」の目的は、子ども一人一人の育ちを支え伸ばすために先生方の日々の指導改善に生かすことと従前の説明をした上で、新年度4月実施については「現時点で予定通り実施で準備をすすめている」としました。全教は、4月に開校する学校において「まず安心して学校生活が送れるようにすることが最優先であり、実施することは大きな問題がある」と、4月調査の中止を求めました。また、文科省は全国学テの点数競争等の問題点について、福井県議会や高知県土佐町の意見書を「承知している」としながら、「調査をやめたら競争的な考えがなくなるかといえばそうではない。別の手段で何か追い立てるようなことをするというようなことは残る」と述べ、「適切な調査への向き合い方」を現場で「対話」してほしいと述べました。全教は、「文科省として実態を把握しているのか」と質し、当面悉皆実施を中止すること、そのことで競争主義的な序列化につながるような対応を改善できると訴えました。

 

②教員免許更新制度は制度疲労を起こしている

 文科省は、更新講習は受講者アンケートでも「一定の評価を得て」おり、更新制度は「教員として必要な資質能力を保持されるために必要」として基本的に廃止は考えていないと述べました。

 65歳に達する方への免除については、更新制度の趣旨の観点から免許更新は必要だが、未更新者を定年退職者の再任用等で採用する場合、臨時免許状で柔軟な対応が可能であることを明確にする措置を講じていると述べました。全教は「教職員未配置がこれだけ広がっているもとで深刻な問題」と指摘し、「65歳まで働き続けていた先生についてはそれなりの力量や見識がある。講習を免除し手続きだけで更新できる制度を」と主張し、65歳に限らず教職員の負担軽減の面からも制度の廃止を強く求めました。

 

③「穴があく」で少人数学級が後退

 標準法改正について文科省は、H29年3月の改正内容にふれるとともに、中教審における小学校高学年における本格的な専科指導導入についての答申が来年度出る予定で、それを踏まえて制度改正できるよう検討していきたいと答えました。少人数学級については各都道府県・指定都市の実施状況について述べ、H23年の学級編制標準の改正をもとに地域の実態を踏まえて引き続き検討していくことを述べました。全教は深刻な未配置(「穴があく」)の実態のもとで少人数学級を維持できない自治体が増えている状況を述べ、国の責任で少人数学級を行うことの重要性を改めて指摘しました。

 

④特別支援学校設置基準策定の検討を

 文科省は、特別支援学校の設置基準について、「対象とする障害種に応じた多様な施設整備が必要とされることから策定されていなかったが、依然として高い水準で教室不足が生じていること等を踏まえ、現在開催している『新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議』において、その要否や策定の際の留意点等についても検討を行っている」と回答しました。また、教室不足解消に向けてR2~6年度を集中取組期間とし集中取組計画を策定することなどを求めていることを明らかにしました。全教は、文科省の教室不足調査が再開されたが、2016年までと比べ不足数の解消が緩やかになっている実態を指摘し、調査の実施が解消につながる政策だとして調査を毎年実施することを求めました。また、既存施設利用の予算措置が「既存施設ありき」となっており、本来必要なところに学校をつくれるようにすることが重要と主張しました。

子どもや学校、地域の実態に合わせ柔軟な対応をしていきましょう

 文科省は9日、「一斉臨時休業に関するQ&A」を更新しました。新たに追加になった2つを紹介します。子どもたちの心身の健康を守るためにぜひ活用していきましょう。

 

Q37 「臨時休業期間中に、児童生徒が外出して運動をしてもよいのか。」

A 「児童生徒の健康保持の観点から、児童生徒の運動不足やストレスを解消するたあめに行う運動の機会を確保することも大切と考えており、安全な環境の下に行われる日常的な運動(ジョギング、散歩、縄跳びなど)を本人及び家庭の判断において行うことまで一律に否定するものではありません。

 ただし、一度に大人数が集まって人が密集する運動をしないなど、感染拡大を防止する観点からの配慮が必要です。」

 

Q38 「臨時休業期間中に、学校の校庭や体育館を開放して、児童生徒が運動する機会を提供してもよいのか。」

A 「児童生徒の健康保持の観点から、児童生徒の運動する機会を確保するため、学校の校庭や体育館の開放を設置者や各学校等の判断において行うことについては、一律に否定するものではありません。

 この場合においても、一度に大人数が集まって人が密集する運動とならないよう配慮することが必要です。 

 特に、屋内である体育館の開放については、ドアを広く開け、こまめな換気を心がけたり、児童生徒が手を触れる箇所(ドアノブ、手すり、スイッチなど)を消毒液を使用して清掃を行うなど、感染拡大防止のための防衛措置等を講じた上で、少人数の児童生徒への開放にとどめるなど、より慎重な対応が必要であると考えます。」